慢性腰痛のためのエクササイズ中の筋群の活動:筋電図による評価

こんにちは。御影にあるパーソナルトレーニングスタジオFitness fieldの前田です。

慢性腰痛のためのエクササイズ中の筋群の活動というテーマで書いていきます。

そしてこれは筋電図という機械を用いて、実際のエクササイズ中に筋肉の取付けて筋肉の収縮具合を見てこのエクササイズではこの筋肉が働いている。これはあまり働いていない。などをいくつか調べて腰痛がある場合と腰痛がない場合でも筋肉の収縮具合を比べた実験を行っている文献です。

 

まとめ

1つのエクササイズだけでは十分でないということ。いくつかのエクササイズを織り混ぜ、一人ひとりの身体状況や機能を改善させることが重要である。

また腹部のブレーシングは良好な体幹の安定性をもたらすこともわかった。(腹部ブレーシングについては後で解説

 

はじめに

腰痛は世界で最も多く発生する健康問題の1つです。84%の人が生涯のいずれかの時点で経験をしている。
20〜30%の症例において痛みは持続的であり、機能障害を引き起こし、スポーツや仕事、日々の生活に支障をきたしている。腰痛の症状がひどくなると長期休職のリスクが上がる。

慢性腰痛は、痛みが肋骨下部から殿溝にかけて12週間以上続く症状と定義されている。
原因として神経痕の問題、骨関節炎など、多数の病因が症状の起源と考えられる。

慢性腰痛のある人とない人の間には、原因となるメカニズムにいくつかの相違がある。

例えば
コアの筋群の筋電図活動で見ると、腰痛がある人は、筋電図活動の遅れ(筋の動き出すタイミングが遅い)と筋の動員パターンの変化(収縮する力が弱い)がある。また、日常生活や運動中の体幹の筋電図活動が弱い。

また腰の伸展筋力が弱く脊柱筋群の横断面積が少ない、そして脂肪浸潤が進んで筋繊維タイプの比率が変化(持久的に弱くなる方向)している。

そして腰痛の人は、腰部多裂筋、腹横筋および腰方形筋が体幹の筋群の中で最も劣化している。これらが腰部の機能障害に相関関係があると報告されている。

腰部安定化させるエクササイズを様々に行なっていくことは、骨盤構造から上部の適切な体幹姿勢を保持するためである。

筋肉を上手く使えるようにすることは、しっかりと働かせることができる能力を改善し、間接的に疼痛と障害を軽減させる。

多種多様なエクササイズと補助テクニックがあるので、適切なエクササイズの選択がより重要となってくる。
そのために筋電図を用いたエクササイズは主観だけでなく実際に筋肉が働いているかどうかを評価するのに最適である。

 

分類した筋群

  • 外腹斜筋
  • 腹直筋
  • 脊柱起立筋
  • 腰部多裂筋
  • 内腹斜筋
  • 腸腰肋筋の胸部
  • 大臀筋

と筋肉があるのでこれらがエクササイズ中にしっかりと働いているのかどうかを判定していくようにする。

また腹横筋、腰方形筋の筋電図がないのは、深層にある筋肉のために筋電図をつけることが容易ではないことで、外れています。

外腹斜筋

最大の筋活動は、ブリージングをしながらのサイドブリッジ
最小の筋活活動スクワット

腹直筋

最大の筋活動は、ブリージングをしながらのサイドブリッジレジスティッドアームエクステンション
最小の筋活動は、手にウェイトを持って立位、または座位でのオルタネイトショルダーフレクション(フロントレイズ)、ヒップブリッジ

脊柱起立筋

最大の筋活動は、ブリージングをしながらのサイドブリッジ、ヒップエクステンション

最小の筋活動は、記載がありませんでした。
ちなみに補助的に用いた不安定なサーフェスや骨盤ベルト、レーザーポインターによる視覚のフィードバックを用いた同じエクササイズでは筋活動が弱くなったという報告があります。(骨盤ベルトは助けているけど筋活動としてはマイナスに作用する。ってことになります。)

腰部多裂筋

最大の筋活動は、腹臥位で左右交互のレッグエクステンション
最小の筋活動は、立位でのアームエクステンション

内腹斜筋

最大の筋活動は、プランク(おそらくブリージングはしていると考えられる)
最小の筋活動は、記載がありませんでした。

ちなみにバードドッグを行う際には、腕と足を片方ずつ両方上げる場合は、腕だけ、足だけのどちらかだけを上げる場合よりも筋活動は高かった。

腰腸肋筋の胸部

最大の筋活動は、バードドッグ
最小の筋活動は、記載がありませんでした。

こちらも不安定なサーフェスで行うエクササイズでは安定したサーフェスで行う場合よりも筋活動は低く出たとあります。地面にしっかりと立ったり、姿勢を作ったりする方が筋肉はしっかりと働くということを示しています。

大臀筋

普通に考えるとスクワットやデッドリフトで最大値が得られることは容易に考えられるので、その部分に関しては記載がありません。
興味深いことは、ヒップエクステンションを行う場合には、骨盤ベルトを用いた場合には、やはり筋活動の低下があった。
またヒップリフトを行う際にも骨盤ベルトを用いると筋活動の低下があった。
骨盤ベルトは筋肉の活動を抑えてしまうような何かがあるみたいです。

腹部ブレーシング

最近ブレーシングってなんとなく言われ始めている言葉です。ドローインはダメでブレーシングが良い。みたいな感じで言われていますが、言葉遊びに近い感じがしています。

お腹を凹ますことがドローインでお腹を膨らませることがブレーシング。って書いてたりするんですけど、全く反対のことを書いているのです。もうよくわからないって感じになります。

ドローインは腹横筋にフォーカスした言い方です。お腹をペッタンコになっている状態で動きましょう。

ブレーシングは1つの筋肉にフォーカスを当てずにインナーユニット全体を使ってお腹を使いましょう。って言っています。凹むかどうかよりも全体としてしっかりと使いながら。姿勢を維持していくことにフォーカスしている。より実用的になった。って感じかな。

そのためにエクササイズの中でブレーシングをしながら行うエクササイズが筋活動が活発になっているっていうことは考えられます。

考察

この研究の中では基本的に自体重でのエクササイズでの筋活動を調べた結果になっています。そのために例えば、脊柱起立筋や大臀筋などは負荷をかけたスクワットを行った場合にはより大きな筋活動が出てくる場合もあり得る。

その場合に、腰痛の度合いにもよるけれど、その負荷が適切であり、また腰痛の悪化に寄与しないかどうかは確認を行なって行かないといけないために研究としては難しいので出てきていません。

他のエクササイズも同様に負荷をかけたエクササイズを行なってはいけないわけではなく、漸進させる上で負荷をかける場合も出てくるのだけど、まずは基本的な自体重でのエクササイズがしっかりと行なって筋活動ができている(正しく動作を痛みなく行える)ことができていけば自ずと次の段階へ進んでいくことができると考えれます。

またこの文献で多く出てきた不安定なサーフェス。バランスディスクやクッションのようなものだと考えられますが、これらを使った場合には、筋活動が低下することが起こっていることも考慮する必要はあります。

腰痛を持っている人のリハビリの初期の段階ではこれらの不安定なサーフェスを用いたエクササイズは行わないほうが良い。もともと筋活動が低下している状態なのに、より筋活動がしにくい状態に持っていくことはよいリハビリにはなりにくい。一概にダメと言うわけではなく安定したサーフェスでしっかりと行えるようになれば、その次の段階として不安定なサーフェスを取り入れることは悪い選択ではないと言うことです。

結局は、全てのエクササイズにおいて漸進することを前提として腰痛の度合いによって負荷の調整を行なっていくことが重要となってくる。

 

 

 

 

    無料カウンセリングお申し込み

    カウンセリングをご希望の方は、こちらからお問合せください。折り返しご連絡をさせていただきます。

    ご希望のコースを選択してください *必須

    迷惑メール対策にご協力お願いいたします。